樹脂設計の新常識 インサートナットは使わない締結①
樹脂にタッピンねじ締結する設計者向けのお話。
1.樹脂設計における“締結の壁”
熱可塑性樹脂を用いた製品設計では、金属部品との締結が避けて通れません。
一般的には「インサートナット」を、成形時または熱圧入で埋め込み、小ねじ等で固定します。
しかし、以下のような課題を感じている設計者も多いのではないでしょうか。
・インサート工程が追加されるため、製造コストと工数が増える
・熱による樹脂の劣化や変形リスクがある
・小型化設計ではインサートスペースの確保が困難
・リサイクル性が低下する(異材混入)
2. 樹脂用タッピンねじの特長と仕組み
樹脂用タッピンねじは、いわゆる”一般的なタッピンねじ”とは異なる「ねじ山形状」により、
樹脂内部に自らねじ山を形成し、樹脂を傷めない締結ができます。
そのため、インサートナットを使わずとも安定した締結力を発揮できます。
<主な特長>
・「低ねじ込みトルク」と「高破壊トルク」
→ 樹脂に最適化されたねじ形状で、低ねじ込みトルクと高破壊トルクを実現。
・繰り返し使用にも対応
→ 適切な樹脂材料と設計条件で、再締結や分解も可能。
・工程削減・軽量化・低コスト化
→ インサートナット不要により組立工程を簡略化。
・環境配慮設計に貢献
→ 異材を減らし、リサイクル性を高める。
3.樹脂用タッピンねじの紹介
サイマが開発した「樹脂用タッピンねじ ノンサート」シリーズは、
まさにこうしたニーズに応える代表的な樹脂用タッピンねじです。
樹脂用タッピンねじを使用することで、インサートナットを使わない締結が実現できます。
ノンサートは独自のねじ山形状により、成形樹脂内部で最適な食いつきを得ながら、
樹脂の割れや白化を防ぎます。
特に、肉厚の薄い構造部材や小型筐体など、インサートを入れる余裕がない設計に最適です。
つづく
次回TAK NEWSでは、
樹脂設計の新常識 インサートナットは使わない締結②
4. 設計者のための適用ポイント
5. トルク解析サービスによる“確実な設計”の実現
6. まとめ:締結設計の新たな常識へ
をお届けします。



