インチねじ、アメリカ

前号Vol.25で、メトリックねじはDIN規格品が世界の主流で、JIS品はマイノリティーなので、DIN規格ネジの方がコストメリットありと論じました。

では、インチねじはどうでしょうか?
インチねじが流通しているのは、少し雑な表現ですが、アメリカのみです。
実際には、アメリカと経済的に密接につながっている国では、インチねじの流通が有ります。
アジアでは、フィリピンがそうでした。
過去形で書くのは、フィリピンにはかつて米軍基地があり、経済的にアメリカに依存していました。
私が初めて出張した1992年には、ペソの他にも米ドルが流通していました。
町中で普通にドルが使用できました。

東京都内に、インチねじを専門に在庫販売されているねじ商社さんが、かつて存在しました。
ご家族にフィリピンの出身者がいて、フィリピンの一般流通品のインチねじを少量で輸入して、日本で販売されていました。

アメリカのねじ市場は、統計金額は持ち合わせていませんが、一国では世界最大です。

インチねじの規格は、メトリックのそれとは完全に別物です。
従い、インチねじ規格の理解は、インチねじの規格に精通する必要があります。
機械的性質などの「ねじ用語」は、インチもメトリックも同じです。

インチねじの製造量も、DIN規格品と同様に、大量生産なので、JIS規格品の製造コストよりも安価なのが一般的です。

小回りの利くJIS品の国内生産。
大量生産のスケールメリットの、DINとインチねじ、と言ったところでしょうか。

[コラムニスト]
株式会社サイマコーポレーション
グループCEO & テクニカル・セールス
斎間 孝