ねじの折れ

様々な問題がありますが、
1:水素脆性での破壊
2:遅れ破壊
3:想定外の外部応力
4:軸直角からの応力
5:トルク過多
などが挙げられます。
もちろんこの他にも、多種多様な原因があります。

今回は、1の水素脆性問題を深堀します。
ねじ部品での水素脆性問題は、表面処理工程に起因します。
めっき中(電気めっき)に、水素が金属組織へ入り込み、金属組織が脆化することで、主に雄ねじが折れる現象です。
一般的に「高強度ボルト」と呼ばれるボルトが対象です。

強度区分が8.8以下は問題がほとんど起こりません。
10.9では、「ベーキング処理」をめっき工程内に入れることで、水素脆性の問題をクリアできます。
ただし、ベーキング処理工程を正しい時期に、正しい温度で正しい時間をかけることで、水素脆性問題をクリアできます。

12.9以上のボルトには、電気めっきはNGです。
電気めっきで一番多いのが、電気亜鉛めっきですが、亜鉛めっきを12.9以上のボルトに施す場合には、
機械的に亜鉛を塗布させるメカニカルめっき(メカニカル・ジンク)が昔から処理方法としてあります。
水素脆性問題がありません。
現在は、メカニカル・ジンクの代替処理めっきが多くありますので、ご相談ください。

残念ですが、海外のめっき工場やねじ工場では、これらの極めて基礎的な常識が浸透していない国があります。
また、個々の工場で基礎的知識が欠落している表面処理工場もございます。

不安に感じたら、ご相談ください。

[コラムニスト]
株式会社サイマコーポレーション
グループCEO & テクニカル・セールス
斎間 孝