3代目社長25周年の記憶 SIMAファスナー事業開始より25年がたちました

第6話【トルクアナライザーと出会ってノンサートの開発開始】

スイス系ねじ屋での会社員時代、新しい日本人GMが外資ヘッドハント会社からやってきた事があった。その新GMのお友達が、ベクトリックス社の怪人小長井氏だった。怪人小長井氏の年齢が上なのだが、初対面で意気投合。当時から飲み友達で、サイマに入ってからも飲み友である。

トルクアナライザーは動的トルクを曲線化する分析器で、面白そうなので1セット購入して、毎日使いまわした。当時は、ねじ工場が自社製造品のパフォーマンスチェックに使っていた。一部の意識の高いねじユーザーが下穴設計のシミュレーションに使っていた。サイマでオリジナルねじの開発が出来るなと思い、金属インサートを使用しない、第4世代の樹脂専用タッピンねじの最高峰が開発できないかなと感じた。

開発時の膨大なトルクデータを基に、「トルク曲線解析セミナー」をプログラム化して、タッピンねじを使用するときには、トルクアナライザーを使用して、使用するねじ種類&下穴径&締結トルク、の最適化シミュレーションが可能ですよ、とセミナー活動と称した、伝道活動を開始。
サイマのねじを販売していただける商社さんの営業トレーニングも請け負うようになった。

ノンサートは、ねじ山角度が30度で三角おにぎり型のねじ部が特徴の、樹脂専用のタッピンねじ。ねじ山角度、ピッチ、ねじ乗数など色々なタイプの金型を作り制作。トルクアナライザーで、業務終了後にデータ取り。1年以上を費やして、ねじ部の形状を決定した。

当時、EU規制のRoHS指令で、電気亜鉛めっきの六価クロムが含まれたクロメート被膜が問題になりそうだと情報を得ていた。ヨーロッパのねじ屋に勤めていて良かったですよ。
クロメート、ユニクロ、黒色クロメートなどが規制される。代替処理は三価クロメートが最有力だった。付き合いのあるめっき工場では、対応が出来なかった。仕方なく、めっきの薬液メーカー全社へアプローチした。薬液メーカーさんの工場も訪問させてもらって、その時の現状を理解できた。

結論からは、「経済的理由から誰も私の話には乗ってくれない」、ということだった。中京地区の薬液メーカーさんの技術職の人が、この話を面白がってくれた。かなり長い話を短くすると、この日本製のクロメート被膜の薬液を使って、最後は台湾のめっき屋さんを口説き落とすことに成功した。ノンサートの発売当初は台湾で製造していた。
在庫品に三価クロメートを搭載し、RoHS対応ですと販売したのは、サイマが国内第一号(当社調査)です。当時の名前は、「ユニクロ2」。全く普及しない名称でしたがね

その後、日本の小型冷却ファンメーカーさんと共同で、小型ファンの筐体部分を破壊しない、冷却ファン専用のSYノンサートを開発して、世界中に輸出できるようになった。こちらの小型ファンが、省エネルギー、小音に優れているらしく、世界中で優位性を保っていただけているから、SYノンサートが海外輸出できるのである。

ノンサートは、1.4‐6㎜まで、即納体制で販売しています。

第7話は、トルク伝達と頭飛びの問題に悩まされた、310スリムの開発の話です。

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