神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)様は、海老名市に本部を構える県立の公設試験研究機関です。新技術や新製品の開発を進める中小企業の評価、研究などをサポートしています。今回、登場する伊東圭昌氏は、KISTECの中でも、中小企業支援の実行部隊となる「事業化促進グループ」のグループリーダーを務めています。フットワークが軽く、年間約百社を訪問しています。さまざまな企業を見ている伊東氏はサイマコーポレーションをどう思っているでしょうか?
お客様プロフィール
名称 | 地方独立行政法人・神奈川県立産業技術総合研究所 |
WEBサイト | https://www.kistec.jp/ |
本部住所 | 神奈川県海老名市下今泉705-1 |
事業内容 | 技術相談・技術支援・情報提供・中小企業支援 |
インタビュー日時:2021.08.20
インタビュイー:事業化支援部 企画支援課 事業化促進グループ グループリーダー 伊東圭昌様
インタビュアー:かながわ経済新聞 千葉編集長
伊東氏「オーソドックス守りながら独自性出すのがすごい」
斎間「ねじの守備範囲以外のことはしません」
― 伊東さんは県内のあちこちの企業に出向いていますね。コロナ禍で中小企業の状況はどうでしょうか?
最近、経営者の人たちと話していると、後ろ向きな相談ではなく、むしろ前向きな相談が増えてきた気がします。確かに、コロナ禍で経営の数字は厳しいかも知れませんが、逆に(受注減少などで)空いた時間を『チャレンジの時間』に当てている企業が目立っています。具体的には、アフターコロナを見据えた新製品開発や事業転換などに関する相談です。話を聞く中で、使える補助金・支援制度などがあれば案内しています
― 製造業が中心ですか。
そうですね。ただ、このところ製造業以外、例えば飲食店やサービス業の経営者からの相談もあります。製造業の経営者からの紹介です。これまで公的支援機関を活用したことがない人たちが大半です。話を聞いた上で対応できる支援機関・制度などを紹介しています
― コロナ禍でも好調な企業もあると思いますが、何か共通点はありますか。
あくまでも私見ですが、孤軍奮闘していない企業だと思います。何かあったら、私たち支援機関を含め、誰かに相談できるネットワークなり、人脈なりがある経営者は強いです。補助金の情報をいち早くキャッチするなど、対応が早い気がします
― 斎間社長も、地元商工会議所の議員をしていたり、KISTECさんなどの公的機関を頻繁に利用されたりしていますね。
行政や支援機関の人たちは、企業から頼まれれば、ちゃんと相手をしてくれます。もちろん、私たち企業よりも早く情報が入ってきます。また、支援機関の中にも、とりわけ情報発信力が強い人がいます。そうした人たちと長く付き合いたいと思っています
訪問時に、誰もがあいさつしてくれる職場、あるいは現場の清掃がいき届いている工場は、伸びている気がします。一方、私たちも社長さんたちと会うことで、学びになり元気ももらっています。素晴らしい社長さんたちは皆、自分なりの格言を持っています
― 斎間社長とKISTECの関わりは。
当社の場合、新製品開発時の試験は、具体的に何をすればよいか分かっているので、自社でできます。ただ、製品化してから不具合が生じ、その原因が突き止められない場合は相談しています。表面処理の問題なのか、あるいは金属組織の問題なのか。原因を調べてもらいます。また、不具合を自社だけで解決しても『社内のノウハウとして、もう少し調べたい』という時にはKISTECさんに相談します
― 伊東さんから見てサイマコーポレーションはどんな会社でしょうか。
サイマさんの製品の場合、”飛び道具“をウリにするのではなく、王道のことを当たり前に、ねじのオーソドックスなことを守りながら、その中で独自性を出しています。独自性を出すにしても、しっかりとした根拠があると思います
そもそも、外したいからねじを使うのです。外れなかったら、ねじが売れる訳がありません。私の場合、自分の守備範囲があり、そこから出たくないという思いが強いです。飛び道具を使わないのはそのためです。ただ、その守備範囲の中にも、手薄なエリアがまだまだあります。そこをやっていきます
― 今後のサイマコーポレーションに期待することは。
もっと突き抜けてほしいと思っています。たとえ話ですが、ハンカチの四隅を持ち上げるには、真ん中が突き抜ければ、他の四隅が自ずと上がってきます。サイマさんはハンカチの真ん中のような存在になってくれたら…と思っています